エンコーダとは?

エンコーダは、機械的な位置の変化を、位置値としては回転位置または直線位置をセンサで測定して、電気信号として位置情報を出力する装置です。 軸の回転位置(角度)を検出するタイプをロータリー(回転)エンコーダ、直線の位置(変位)を検出するタイプをリニアエンコーダ(リニアスケール)と言います。 位置(変位)、動作方向及び速度の情報を出力します。

直線と回転の位置を測定するための目盛として、直線スケールと円板(ディスク)及びリングがあり、その目盛を各種センサで測定します。

エンコーダの位置検出方式(目盛とセンサ)にはエンコーダディスク(スケール)を光で検出する光学式と磁気スケール(リング)を磁気式で検出する方法、さらに鋼球をパイプ内に封入したスケールを一次/二次コイルで検出する電磁誘導式があります。

光学式のスケール(円板)はガラスに目盛を付けたもの、スチール板に目盛を付けたもの、スリット穴を開けたもの等があります。 それをLED、レザー等の光源とフォトダイオード等の受光素子を組合せて測定します。

磁気スケールは磁性ゴムに、磁気リングはフェライト焼結リングにNSの磁極で目盛を付けたものをMRセンサ、ホール素子等のセンサで測定します。

エンコーダには移動量に応じた数のパルスを出力するインクリメンタル型と検出個所の絶対位置をデータ出力するアブソリュート型があります。

アブソリュート方式のスケール及びディスク(円板)には絶対位置の専用目盛が刻んであります。この目盛をセンサで読んでアブソリュート信号を出力します。

エンコーダの測定方式例
エンコーダの測定方式例(光学式ロータリーエンコーダ透過型/光学式反射型、光学式リニアエンコーダ、磁気式リニアエンコーダ)
アブソリュートエンコーダのコード例
アブソリュートエンコーダのパターン例(グレイコード/バイナリ―コード)
アブソリュート回転エンコーダの
パターン例
エンコーダの測定方式例(電磁誘導式スケール)
エンコーダの測定方式例(磁気式アブソリュートスケール)
アブソリュートリニアエンコーダのパターン例

エンコーダを使用するメリット

  • 技術の進歩により電動化か進んでいます。手動や油圧空圧駆動よりモーター駆動にすることで位置と速度の制御が正確で簡単になります。モーターでの制御に最適なエンコーダを選定して自動化を推進して下さい。エンコーダを使用することで容易に高精度高速送りの位置決め制御が可能になります。
  • サーボモーターを使用して直線駆動をする場合ネジやラック等を使用して直線運動をさせます。この場合サーボモーター(回転エンコーダ)以降の送り機構にはネジのピッチ誤差、カップリングや駆動シャフトのねじれ、たわみ及びバックラッシュ(ガタ)、ベルトの延び等があり位置決めの誤差が生じます。さらに駆動系の熱による変位も発生します。
    リニアエンコーダを使用して動作の最終端の位置を測定して制御することにより、駆動系の誤差に影響されず位置決め精度は大変良くなります。これをクローズドループ制御と言います。
  • スケールの絶対精度が高い物は高価です。しかしエンコーダシステムの繰り返し精度は制御理論上は±分解能です。精度のそれほど高くないエンコーダを使用した場合でもスケールの目盛の誤差及び駆動系の誤差を測定し、電気的に補正をすることにより高い絶対精度が得られます。
  • リニアモーターの制御にはリニアエンコーダを使用して高精度、高加速、高速化されています。またインバータモーターは回転エンコーダまたはリニアエンコーダで位置制御が可能です。
  • 駆動系、送り系が高精度を目指した機構でなくても、リニアエンコーダを使用することにより容易に安価に高精度位置決めができるのが大きなメリットです。
  • アブソリュートエンコーダ使用のメリットは駆動系に電源が入り次第、また電源喪失後に位置が動いてしまった場合でも、電源が戻った時点で絶対的な位置の値を提供することができることです。
    インクリメンタル方式の様に原点復帰して制御系にゼロ位置を知らせる必要はありません。ノイズ等による位置ずれも起こりにくい方式です。
  • インクリメンタルでの自動運転の場合、位置ずれは継続しますのでサイクルごとに原点復帰動作(ゼロリセット)を入れる方法があります。
  • 油圧シリンダーの制御でも高速/高精度の切換バルブを使用することによりリニアエンコーダにて位置決め制御が可能です。
  • 手動で位置決めしている装置ではメジャースケールを取付けて目視で細かいスケール目盛を読み位置決めしています。その様な場合には電池式位置表示器を取付けると、高精度で簡単な操作の位置決めができます。電池式ですので電源配線は不要です。

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